Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

Leggi 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) di 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 151.120 caratteri · 302 schermate

Aozora Bunko

五ノ二

(変だなア)

黒吉は、又そう呟きながら、楽屋の向うを見ると、恰度通り合せた葉子が、

「なんか用?」

呼ばれた、と感違いしたのか、房々とした断髪を、後ろの方へ、掻き撫ぜながら、近寄って来た。彼女の、ぴったりと体についた、肉襦袢に包まれたむちむちとした肉体は、歩く度に、怪しく蠢いて、又新らたに、黒吉の眼を奪った。

五ノ二

「呼んだんじゃないけど……」

黒吉は、自分の一寸した独語にも、葉子が聞きとがめて、わざわざ来てくれるのが、耐らなく、嬉しかった。

「何いってたのよ、いま」

「何って(変だなア)って独語いったのさ」

「どうして変なの、何が――」

「そういわれると、困るけど、一寸、不思議な事さ」

「何さ一体、……まあいいわ、意地悪ねエ、あたしなんかにいいたくないんでしょう、いいわ、そんなら」

葉子は鼻を鳴らすような声で、そういうと、豊かな肉体を、くねくねとさせながら、すねて見せた。

黒吉は、時には鞭で自分を打ち、嬉し気に笑う、年若き麗魔が、こんな素晴らしい技術を持っているのか、と思う前に、唯、官能的な美に溺れて仕舞った。

「いうよ。いうよ。葉ちゃんにいえない事なんか、ないじゃないか……俺ア、葉ちゃんの顔を見るんだよ」