Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

Leggi 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) di 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 151.120 caratteri · 302 schermate

Aozora Bunko

ふさふさとした黒髪は、枕元に匐廻り、まだ色褪せぬ唇が、薄く開いて白い歯並の覗いているのが、如何にも楽しい夢をみているように思わせ、体全体の艶を含んだ小麦色の皮膚は、むっちりとして弾々たる健康を、惜気もなく振撒いているのだった。

洵吉は、何故とはなく、ホッと息を漏らして、水木の方を振返ってみた。水木は彼の溜息をきいたのか、にやにやと笑いながら、

「どうだい、素晴らしいだろう、僕もはじめ(今日は――)と這入って来た時は、思わずハッとしたよ、……前から求めていた理想的な体だからな、それに行商の女だから何処へ行っちまったんか、解らないだろう、実際絶好だったよ……」

そんなことをいうと、もう写真をとる用意をはじめた。

「撮るのかい……だけどなぜ硝子の箱なんかに入れたんだ、写真を撮るだけなら、殺さなくてもよかったんだろう――」

洵吉にはまだ、総てが疑問だった。

「僕はこの体を見附けるためには、随分苦労したんだぜ、それが向うから飛込んで来たんだ、……殺した訳、それはね――」

水木は、一寸、言葉を切ったが、すぐ続けた。

「それはね……、ふ、ふ、この素晴らしい健康な肉体が、次第に腐って行く、その過程を撮ろうというんだ、驚いたかい。