Classici giapponesi con furigana
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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
Leggi 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) di 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 151.120 caratteri · 302 schermate
だが、早速に君のような、一眼で左ききを見わけるような観察力の鋭い青年を得て、わしは大満足じゃ、是非木美子と共に手伝ってくれたまえ……わしの研究ももう一歩のところじゃ。しかし、矢張り何やかやと入費があっての――」
私は一瞬、さては――と思った。そしてこの不気味な下水道の中の研究室に連れて来られたのは、矢張り金のことがあったのか、と思いあたった。が、鷲尾老人は又笑って
「はッははは、いや、そう変な顔をしないでくれたまえ、金がかかるといってもこの鷲尾は、絶対に人の世話になろうとは思わんよ。僅かな私財は全部研究費に注ぎ込んで、今はたった一つしか残っておらんが、しかし素晴らしい名画をもっておるからの、これだけ手離せば、わしの研究の完成まで位、悠々と支えられる筈じゃ」
「なんです、その名画というのは――」
私は、どうも鷲尾老人のいうような、電気の方は苦手であったけれど、画の方ならば、少しはいいように思われた。
「ミケランジェロじゃがね」
「え?」
「ミケランジェロじゃよ――。そうじゃな、君はいきなりこの研究室で手伝って貰うより先ずこの画を売るのを心配して貰うとするかな……、ともかく一つ、まあ見てくれたまえ」