Classici giapponesi con furigana
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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
Leggi 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) di 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 151.120 caratteri · 302 schermate
成河副院長は、懶げにカルテを流し見て聴診器を耳に差込んだ。
何気なくその動作を、ぼんやり見ていた私は、その時、はっと、息をのんだのだ。
今日は場所の加減かマダムの上半身の裸像が目の前にあり、挑発するようにクローズアップされたその丘子の胸は結核患者とは思われぬほど、逞しい隆起を持っていた。体全体露を含んだクリーム色の絹で覆われているのではないか、と思われるほど、キメの細かい柔らかな皮膚であった、その上、逆光線のせいか、私のいるところからは恰度その乳房一面に、金糸のような毳毛が生えてい、両の隆起の真ン中には、柔らかな翳を持った溝が、悪魔の巣のように走り凹んでいるのが、これ見よがしに眺められた。私は気のせいか視線がすーっと萎縮するのを感じて、あわてて二三度瞬きをした。その時、隣りに掛けていた青木の、荒い息吹きをも感じた。
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診察がすむと、私たち四人はその儘、横臥場へ行った。横臥場はサナトリウムのはしにあって、ポプラだの藤だのの下に葦簾を張り、横臥椅子をずらりと並べてあった。そこに横になると、恰度目の前にサナトリウムの赤い屋根が、初夏の澄みきった蒼空をバックに、極めて鮮やかに浮出して見えるのであった。