Classici giapponesi con furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Leggi 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 289.044 caratteri · 575 schermate
それは人間の意力でもたらされるものですから、少くともある程度までは。そして、女は知っているの、つまりは、それとこれとは一つ生命の展開であると。一つになっている二つの命の火であると。
でも、その女のそういう意欲の半面には何となしこれまでにないテンダアなところが生じていて、こんな心をも経験します。その夫婦が、あるとき、良人の親への思いやりについて話しました。妻であるその女は良人の言葉をよく理解しているのです。でも、そのときの感情は前後のゆきがかりから、わかっているだけ其を改めて云われる悲しさのようなものがあって涙ぐんだ状態でいると、良人は、ごく自然な調子で「自分が子供をもって居る気持になって考えてみればよく分ることだから」云々、と申します。その妻は、その言葉が自分の心臓の上をその言葉のおもみと永さの限りで切りめをつけてゆくような鋭い痛みを感じました。自分たちの間に新しい命の形を表現されないという一つのことのために、その女はたくさんの俗見とたたかって来ています。俗見は最も正当な人間性の評価にあたってさえ、その女が腕のなかにかかえる小さいものをもっていないということを云い立てて、その女の合理性を非難する場合があるのです。