Classici giapponesi con furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Leggi 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) di 田山 花袋 (たやまかたい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 156.097 caratteri · 312 schermate
実にあさましく感じたですよ。世の中は好いが好いじゃない、悪いが悪いじゃない、幸福が幸福じゃない。どんな人でもやっぱり人間は人間で、それ相応の安慰と幸福とはある。それに価値もある。何も名誉をおって、一生をあくせく暮らすには当たらない。それよりも、人間としての理想のライフを送るほうがどれほど人間としてえらいかしれない。どんなに零落して死んでもそのほうが意味がありますからなア」
「ほんとうにそうですとも」
清三は主僧の言葉に引き込まれるような気がした。
「不幸福な人だった!」
と主僧は思わず感激して独り言のように言った。得意なる地位を知ってるだけそれだけ、その背景が悲しかった。平生戯談ばかり言う男で、軽い皮肉をつねに人に浴びせかけた。まだ三十四五であったが、世の中の辛酸をなめつくして、その圭角がなくなって、心持ちは四十近い人のようであった。養子としての淋しい心の煩悶をも思いやった。「なんのかのと言って、誰もみな死んでしまうんですな……それを考えると、ほんとうにつまらない」主僧は深く動かされたような調子で言った。
こんなことでその夜は一室の空気がなんとなく低い悲哀につつまれた。