Classici giapponesi con furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Leggi 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) di 田山 花袋 (たやまかたい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 156.097 caratteri · 312 schermate
三十九
「それは言いましょう」
と和尚さんは言った。
「それに、清三君は体が弱いですからな……」
と荻生さんはやがて言葉をついだ。
「やっぱり胃病ですか」
「え、相変わらず甘いものばかり食っているんですから。甘いものと、音楽と、絵の写生とこの三つが僕のさびしい生活の慰藉だなどと前から言っていましたが、このごろじゃ――この夏の試験を失敗してからは、集めた譜は押し入れの奥に入れてしまって、唱歌の時間きりオルガンも鳴らさなくなりましたから」
「よほど失望したんですね」
「え……それは熱心でしたから、試験前の二月ばかりというものは、そのことばかり言ってましたから」
「つまり今度のことなどもそれから来てるんですな」と和尚さんは考えて、「ほんとうに気の毒ですな。ずいぶんさびしい生活ですものなア。それにまじめな性分だけ、いっそうつらいでしょうから」
「私みたいにのんきだといいんですけれど……」
「ほんとうに、君とは違いますね」
と和尚さんは笑った。
三十九
清三の借金はなかなか多かった。この二月ばかり、自炊をする元気もなく、三度々々小川屋から弁当を運ばせたので、その勘定は七八円までにのぼった。