Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 116.638 caratteri · 233 schermate
「む、最前だろう」
「おれは思うのだが、あれはきっとお叱りをうけたのだ。それもかなり厳しいお叱りをな」
「たれから?」
「もとより北畠親房卿のほかではない。わざわざ呼び返してのお招き入れ。正行さまの御退出もおそかった。どうも前後をおもいあわせてみると……」
「なるほど、正行さまが、次の大決戦をひかえて、母ぎみを他所へ移す御処置のために、水分へ一夜お帰りあったなどのことが、もし親房卿のお耳に入っていたとすれば、あの亜相のことだ、どんな苦い御叱咤をもって、若年の大将を励まそうとしたかそこはわからぬ」
「いずれにいたせ、よい御首尾ではなかったとみえる。あのときのお顔いろでは」
「や。……呼んでいらっしゃる。道をかえてどこへお立寄りになるつもりか?」
騎馬の者はみな小キザミに駒を駈けさせて、正行のまわりに黒いかたまりを見せ出していた。法達と了現とは、そこへだけでなく、なおそれから先も駈けとおした。正行の姿はもう下山の道とは逆な吉水院の谷を東へ下がって、彼方の如意輪堂の方へいそいでいるのだった。
みなあとから追っかけた。しかしそこへ急ぐ正行の何か一途な姿がなにを思っているのかはわからなかった。