Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 116.638 caratteri · 233 schermate
ところが、いざ、
師直の罷免、屏居
という思いきった人事改革の断をみると、一般の表情は予期に反して、師直の失脚を小気味よしとするよりも、
「あの、木像蟹どのが、このままだまっているだろうか」
とする、恐れの方が、衆を大きく支配しだしていた。そして、
「何か始まる」
「なくてはすむまい」
と、危惧に揺れた人心は、たちまち、不気味な流言や浮説を作って、直義の当初の考えとはまったく逆な現象をよびおこしていたのだった。
しかし、一方の――
一条今出川の師直の邸宅といえば、その日いらい、静かに門を閉じたままでしかない。人出入りもまったく絶え、いかにも閉門謹慎のていである。
だがその物音もない奥まった所では、あの木像蟹殿が、どんな屈託顔に頬杖をついていることか。またはこんなときこそ心ゆくまで閑を愉しむべきだとして、側室の二条関白家の妹君でも昼夜なく愛撫していることでもあるか。そのへんはたれにも想像がつかなかった。
けれど彼が悪足掻きな妄動をしていないことだけはたしかであり、夜ともなれば、墨を流したような今出川一帯の大屋根が、それだけになお気味わるい夜気を都の隅に濃くしてはいた。