Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 116.638 caratteri · 233 schermate
母の草心尼はとうに亡い人だったが、よく明石の家へ遊びに来ていた兼好法師がその母をも説いて、たって覚一に娶せたひとなのである。
覚一よりやや年上だったが、草心尼の若い頃をも思わせる清雅できれいな女性だった。そして母の歿後、やがて明石の隠れ家を捨てて尊氏を都にたよって出て来た時には、尊氏もまた、この女性を前からなみなみならず知っていた関係もあって、この良縁を共によろこび、覚一の盲人救済の主旨や職屋敷の実現には、いちばい力をいれてくれたものだった。
「さあ、わたくしにも」
と、彼女はまた、
「思い寄りはございませぬが、きょうの御法要の先を慕って、ここへ来てお待ちになっているからには、やはり生前、尊氏さまに、何か有縁のお方たちではありますまいか」
「それは、そうだの」
「ともあれ、お通しになってみてはいかがでございますか。こう大勢の中ではありますが」
「む」
覚一はこの女性を、妻とも、また亡くなった母とも思っているように、素直にうなずく。
寺僧はやがて、四人の訪客を案内して来て、坐る所もないままに、座敷のそとの廊にその人々を据え並べた。
四人は年配の順に坐った。
老法師をかしらに、年五十がらみの、芸能者とはいえ武者烏帽子に狩衣姿の人柄のいい男と、次には、その妻であろう、髪を布結びにした色白でふくよかな女と、また息子とみえる