Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 116.638 caratteri · 233 schermate

Aozora Bunko

生きとし生ける者のほんとの声を、尊氏さまも今は千万部のお経よりは、泉下で聞きたいとしておられるものと存じまする」

問「はて、いかにとは申せ、検校どのには、先将軍のお心をそこまで、御断言できますか」

答「幼少より存じあげ、かたがた、薨去の当夜まで、お枕べに近い控えの間にいて、夢寐のまもなきおくるしみや折々のおん譫言さえ洩れ伺うておりました。いささか御胸中を拝知しておる一人かと自負しております」

問「死ぬるまぎわまでおん悩みとしていた第一のことは何でしたろうか」

答「たくさんな人間をこの地上で殺したことでしょう」

問「尊氏公が殺したわけでもないでしょうに」

答「あのお方の正直さではそう逃げられぬ。でも家を興すには戦争もせねばならん、戦争へのぞむからは勝つため敵も殺さねばならん、が末始終には、これは天下の諸民を助けることになるのだ、世を安きに建て直す途上では仕方がないと、一生わき目もふらぬおすがただったものでしょう」

問「それがいつ頃からお心の悩みと変ったものですか」

答「私にもわかりません。おそらくは曲がりなりにも幕府が出来たころでしょうか」

衆声「……解せぬことのう?」