Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 116.638 caratteri · 233 schermate

Aozora Bunko

問「幕府の御成立は、尊氏公にすれば、大望成就、得意でありましょうに、なぜそれを境に、お迷いが始まったので」

答「たとえば粘土を以て一つの円い陶壺を仕上げようとなされていたものが、真二つとなってしまったからでした」

問「朝廷の両立ならば、その亀裂は昔からの古傷で、いま始まったことではない」

答「いや、何よりは足利自体の内訌です。股肱の臣と臣とが啀みあい、骨肉の弟御や異母子までが、みな主体に叛いてわが身をわが歯で啖いはじめました」

問「世間の蔭口では、それも尊氏公が政略のやり損じで、御自分の嘘から御自分を破ッたものと申しますが」

答「さよう。私もそんな気がする。一例をあげれば、清水寺の願文など、あれを書かれた御本心が疑われてならないのです。――この世の幸はみな弟直義に与えて給え、この尊氏にはただ後生のみを授け給われ――と、ひたすらな遁世の念と弟思いが溢れているあの願文なのですから」

問「それが、その弟御をついには毒殺なさるとは」

答「げに、人の心とは怪しいものです。とはいえ、清水寺の願文が嘘の文字とは申せませぬ。あれを書いたときのお心はその通りな尊氏さまであったに相違ございませぬゆえ」