Classici giapponesi con furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Leggi 細雪 (ささめゆき) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 226.715 caratteri · 431 schermate
ばよいがと、この間から懸念していたところであったのに、………そして、今日は仕合せに、滞りなく汽車にも乗り込めて、どうやら無事に済みそうであると、ほっとしかけていたのであったのに、………やっぱりこんな事が起きたかと思うと、幸子は自然自分の顔が曇って行くのが、自分にも分るような気がした。と、妙子が、
「何もそんなに急ぐことはあれへん。汽車が一服してる間に此方もお弁当使うたらええがな」
と、わざと冗談めかして云った。
「―――こない停っててくれた方が、御馳走がゆっくり食べられまっせ」
「そやそや、今のうちに食べてしまおう」
と、幸子も気を引き立てて云った。
「―――この陽気やったら、早うせなんだら御馳走の味が変りまっせ」
彼女がそう云っている暇に、妙子はもう立ち上って網棚の上の籠だの風呂敷包だのを卸していた。
「こいさん、出し巻の玉子、どうもなってえへんやろか」
「それよりクラブサンドイッチが怪しいで。この方を先に開けよう」
「よう食べるなあ、こいさんは。さっきから口を動かし続けやないの」
雪子は姉と妹の、それとは云わぬ心づかいなど、とんと気に留めてもいないらしい口調であったが、汽車はそれから又十五六分過ぎて、迎えに来た機関車に牽引されて漸くゴトゴト動き出した。