Classici giapponesi con furigana
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みどりのめ
緑の芽
佐左木 俊郎
Leggi 緑の芽 (みどりのめ) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4815 caratteri · 10 schermate
「そんな、柄であんめえちゃ。」
継母は台所の方から出てきて、罵りを含んだ微笑に口を歪めながら言った。
菊枝はその言葉がぎくりと胸にこたえた。が、彼女はちらりと睨むような視線を走らせたきり、尚も項垂れて黙り続けた。
「ようく聞いて置いでな、菊枝! 今おめえに稼ぎを休まれたら、父が一人で、どうもこうもなんねえんだから……」
こう言う祖母の表情は、ことにその眼は、菊枝の心に温かな、しかも涙ぐましい影を落とした。
「そんでもこんでも、試験を受げて見っと言うのなら仕方がねえげっとも、ほんどき、旅費も何も自分で心配しんだでや。俺は、不賛成なごどには金ば出さねえがら……」
父はこう言って煙管を敲いた。
「そんなごと無えんだから、早く稼ぎさ行ぐ支度をしてはあ……」
祖母は傍らから、庇護うように言った。
菊枝は渋々と立ち上がって、だが、すぐに山ゆきの支度にかかった。
三
菊枝はすっかり沈んでしまって、細い山路をのぼる時から、父親の踵のあたりに視線を下ろしたきり、全く黙り続けていた。松三は、どうかしてこの不快な沈黙を破りたいと、しきりにその緒を考えたり四辺を見廻したりしていた。