Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Leggi 蓼喰う虫 (たでくうむし) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 110.066 caratteri · 216 schermate
尤も僕等のような場合はあまり世間に例がないんで、参考になるのは少いんだけれど」
「で、別れるのには今頃の暖かい陽気が一番いいと云うのかい?」
「うん、まあそうなんだ。まだこの頃はうすら寒いことは寒いけれども、しかしだんだん暖かくなる一方だし、そのうちには桜が咲き初めるし、直きに新緑の季節にもなるし、………そう云うコンディションがあったら、比較的悲しみが軽いだろうと思うんだ」
「と云うのは、君の意見なのか?」
「美佐子も僕と同意見なんだよ、『別れるのなら春がいいわね』って、―――」
「そりゃ大変だ、すると来年の春まで待たなきゃならないのか」
「夏だってそりゃあ悪くはないがね、………ただ僕の母親が亡くなったのが、あれが七月だったろう? 僕はあの時に覚えがあるんだが、夏の景色と云うものはすべてが明るく生き生きとしていて、眼に触れるものがみんな晴れやかな筈なんだけれど、あの年ぐらい夏を悲しいと思ったことはなかった。僕は青葉の蒸し蒸しと繁っているのを眺めただけでも涙ぐまれて仕方がなかった。………」
「それ見給え。だから春だって同じことなんだ。悲しい時には桜の花の咲くのを見たって涙が出るんだ」