Classici giapponesi con furigana
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こうじん
行人
Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate
自分はその暗い庭を前に眺めて、番頭に背中を流して貰っていた。すると入口の方から縁側を沿って、また活溌な足音が聞こえた。
そうして詰襟の白い洋服を着た岡田が自分の前を通った。自分は思わず、「おい君、君」と呼んだ。
「や、今お湯、暗いんでちっとも気がつかなかった」と岡田は一足後戻りして風呂を覗き込みながら挨拶をした。
「あなたに話がある」と自分は突然云った。
「話が? 何です」
「まあ、お入んなさい」
岡田は冗談じゃないと云う顔をした。
「お兼は来ませんか」
自分が「いいえ」と答えると、今度は「皆さんは」と聞いた。自分がまた「みんないますよ」というと、不思議そうに「じゃ今日はどこへも行かなかったんですか」と聞いた。
「行ってもう帰って来たんです」
「実は僕も今会社から帰りがけですがね。どうも暑いじゃあありませんか。――とにかくちょっと伺候して来ますから。失礼」
岡田はこう云い捨てたなり、とうとう自分の用事を聞かずに二階へ上って行ってしまった。自分もしばらくして風呂から出た。
九
岡田はその夜だいぶ酒を呑んだ。彼は是非都合して和歌の浦までいっしょに行くつもりでいたが、あいにく同僚が病気で欠勤しているので、予期の通りにならないのがはなはだ残念だと云ってしきりに母や兄に詫びていた。