Classici giapponesi con furigana
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ていそうもんどう
貞操問答
菊池 寛
Leggi 貞操問答 (ていそうもんどう) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.240 caratteri · 399 schermate
「およろしいでしょう。お嬢さまは、よくお熱をお出しになるので、奥さまはいつもの熱だとおっしゃって、もうお居間へお引取りになったようですよ。」と、女中は新子の気を察したように云った。
女中の後から、随いて行ってみると、祥子は、小さい寝台の上にグッタリとなっていた。
なるほど、夫人の姿は見えず準之助氏だけが、病児の顔をじっと見詰めながら、枕元の椅子に腰をかけていた。
「お風邪でございますか……」と、静かに新子が訊ねたのに対し、父が答えない先に、祥子がうるんだ眼を開けて、
「先生、祥子胸がくるしいの。さすって頂だい!」と、すぐ甘えかかった。
「ええ。どこが。」
「ここんとこ……」と、さも悩ましげに、掛ぶとんをおしのけて、左の胸を指した。
新子は、そこへかるく手をやりながら、
「さっき、雨におぬれになったのがいけないのでしょうか。」と、準之助氏にいうと、準之助氏は新子の方をチラと、意味ありげに見て、
「原因は論じないことにしましょう。でないと、とんだ責任問題が起りますからね。」と、苦笑しながら、小声でいった。新子が、夫人を憚る以上に良人はその妻を憚っているのだった。