Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ていそうもんどう
貞操問答
菊池 寛
Leggi 貞操問答 (ていそうもんどう) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.240 caratteri · 399 schermate
六
いつか、広い昭和通の歩道を、左へ左へと歩いていた。
「それに、私ばかりでなく、姉や妹までが、ご迷惑ばかりかけているようで、いやになってしまいましたの……」
六
人の往来は少く、ただ自動車の激しく走り過ぎる広い通りに添うて、どこまでも歩きながら、前川の沈黙は、無気味なくらい続いた。
ふとした出来心だとか、物の拍子で、新子に「酒場」を出させたのではなかった。
新子に会っていさえすれば、何ということなしに心豊かに、新しい希望の湧き立つような、喜悦を感じるからだ。
しかし、前川は穏健主義の紳士で、周囲を毀ち破ってまで、新子との交情を深める考えはなかった。
綾子夫人の眼から、そっとかくれて、静かな、足るを知る幸福に甘んじて暮して行こうと思っていたのに、綾子夫人はこうした、慎しく隠されたる花園にまで、踏み入って来て、新子をそこから追い出そうとしているのである。
新子が感じているように、この関係は不自然に違いない、しかしそれかと云って、新子との交渉を絶ってしまうくらいなら、自分の位置や名誉はおろか、自分自身さえ、何か要らない無用のもののように、感じられて来る前川だった。