Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
また、はじまったって。でも、いまは現実でそれが証明されているわ。本質をつかむってことは、ほんとに凄いとわたしは思うの。実につよい、云うに云えない美しさがあるわ」
足早に歩きながら伸子は、ベレーをかぶったおかっぱの頸すじをちょいとちぢめるようにした。
「――もっとも、ちょっと、こわくもあるけれども……」
しばらく黙って歩いてゆく二人の靴音がセイヌの河岸通りの静かな夜に響いた。
「僕は、このごろになってちょくちょく思うんだ。……佐々さんに会うのがおそすぎた」
伸子は思わず、並んで歩いている蜂谷良作の体温が急に自分に近くなったように感じた。
「僕が佐々さんから、どんなに新鮮にされているか、とても佐々さんにはわからないだろうな」
「ものの見かたで?」
「そうばかりじゃなく、万事のやりかたで、……こないだ、クラマールの往来のまんなかで、佐々さんはソヴェトの切手を僕にくれたろう、ああいうやりかた」
蜂谷の会話の調子にひきこまれそうになってゆく自分と、それを知って抵抗する自分とを、伸子は同時に一つ自分のうちに感じた。
「感傷的な旅行」
伸子はそう思った。そして歩いてゆく夜の街の灯かげを黒いソフトのふちで遮られている蜂谷良作の横顔を見た。