Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きんろう

金狼

久生 十蘭

Leggi 金狼 (きんろう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.438 caratteri · 179 schermate

Aozora Bunko

蜻蛉玉の首飾をいくつも腕にかけた中国人が、通りみちに立ちはだかって、女給たちのひと組にしつっこく押売りしている。

西貝はそれを押しのけるようにして奥まった卓にすすんで行った。押しだされた中国人は、入口のところで久我にすれちがうと、急に彼の顔を指さしながら、甲高い声で、

「ロオマ! ロオマ!」

と、二声ばかり叫んで出ていった。

客は一斉に不審そうに久我の顔を見あげた。

久我が卓につくと、西貝がたずねた。

「あいつ、いま、なんていったんだね」

「僕がおしのけたと思って悪口をいったんです。老鰻ってのは、台湾語で鰻のことですが、悪党、とか、人殺し、とかっていう意味でもあるんです」

「ヘイ、君は台湾語をやるのかね。(と、いってから、大きな声で)オイ、日本盛」

と、叫んだ。

「僕は台湾で生れたんです。……でも、両親は日本人ですよ。……大阪外語の支那語科を出ると、青島の大同洋行へはいったんですが、どうもサラリーマンてのは僕の性にあわないんですね。また台湾へ舞い戻って、コカの取引ですこし金をこしらえたので、思いきりよくサラリーマンの足を洗って、新聞記者になるつもりで東京へやって来たんです。