Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

Leggi 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.251 caratteri · 39 schermate

Aozora Bunko

細長い一本廊下ですから、よく見通しがききます。ほかには誰も、人は見えませんでした。その時、こいつあお笑いになるかもしれねえが、そこの障子に、ひらりと影が映ったのを見たんで――ちょうど普通の大きさの人間の影でございました。踊るように、ちょっと写ってすぐ消えましたが、あっしゃあ誰かと思って近づいてみますと、だれも人はいねえで、この屍骸――武右衛門さんが倒れていたのでございます。酔興にも程がある。大きなやつが、こんな通り路に寝て、邪魔になるじゃあねえか。おい、武右衛門さん――声を掛けて揺すぶってみたんですが、なんだか様子が変だから、席主の旦那を呼びに木戸へ引っ返したんでございます。」

藤吉は口を結んで、鼻から息を吹いた。

「そうかい。よくわかった。が、あんまり役にゃあ立ちそうもねえ話だの。」彦兵衛を振りかえって、

「御同役、まあ、ちょっくらこけえらを嗅えでみるとしょうか。」

そして、ふっと沈黙に落ちて、あたりを見廻した。狭い板廊の両端に、一方は今来たおもての席、他は裏ぐちへのふたつの戸があって、右側は部屋の障子、左側は壁――出るにもはいるにも、その二つの戸のどっちかを通らなければならない。