Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 125.671 caratteri · 252 schermate

Aozora Bunko

「惜しいことであったな、搦め手が手薄だと言ったが、矢張り曲者を逃がしてしまったろう」

後からノコノコ入って来た宇佐美敬太郎はそんなことを言うのでした。

「宇佐美さん、そんなところから入って来ちゃいけませんよ」

平次は一応とがめましたが、

「曲者は逃げてしまったんだ仔細あるまい」

などとケロリとして居ります。

「裏口はあっしが頑張っていたんだ。猫の子一匹逃げた筈は無い」

八五郎は納まらない様子です。

「いや、入った道もわからない位だ。逃げた道のわからないのも無理はないよ。多分屋根へ飛び上って、皆んな家の中へ逃込んだ時、落着いて逃げたことと思うが――」

平次の解決は見事でしたが、さて提灯を振り照して、窓の下は言うまでもなく、家の回り土蔵の庇の下、厳重に閉ったままの木戸も、抜け裏の三尺の路地も、ことごとく見ましたが、曲者が逃げた足跡も無かったのです。

「店も裏も雨戸も、皆んな締って居りました。何処からも泥棒などの入る場所は無い筈ですが」

主人も番頭も、そう言い切ります。成程戸締には何処にも手落は無く、曲者の逃げ出した窓の他には、開いて居るところは一つも無かったのです。