Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.082 caratteri · 257 schermate
「お気の毒な」
平次もツイこう言わなければならなかったのです。此上もなく厳めしく構えた阿星右太五郎は、自分の言葉に感極まって、ポロ/\と泣いて居るのです。
「父親の私に打ちあけてくれさえすれば、それは一応は小言を申したかも知れぬが、多寡が千や二千の金、何んの苦労もなく出してやったものを――こう思うと、あの出来の良い褒めものの倅を、腹を切るまで迷わせた女が憎くなるのは当り前では無いか」
「――」
「千万無量の怨みを包んで、私があの女に接近したのは、折を見て一刀の下に斬り捨てようため――だが、折はあっても、売女一人の命と引き換えでは、この私の命が惜しい。人知れず葬る工夫は無いものかと、卑怯なようだが折を狙って居るうちに、気の早いのが、あの女を殺してしまったのじゃ」
浪人阿星右太五郎の述懐は、想像も及ばぬ奇怪なものでしたが、その真実性は、顔にも涙にも溢れるのでした。
いや、そればかりでなく、隣の部屋で啜り泣く声が次第に大きくなって、やがてそれは押え切れない嗚咽と変り、平次と八五郎を驚かすのです。言うまでもなくそれは、阿星右太五郎の内儀――腹を切った右之助の母親で、お円という中年女でした。