Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おんぱのさつじん

音波の殺人

野村 胡堂

Leggi 音波の殺人 (おんぱのさつじん) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.399 caratteri · 30 schermate

Aozora Bunko

「――――」

婆やさんは渋りました。門灯の光で、千種の風体には怪しいところは無いと見た様子ですが。何分にも遅過ぎます。

「警察の方が見えましたか」

「いえ」

婆やさんは胡麻塩の頭を振り乍らも、そう言われると、事件の重大性に脅えた様子です。

「何んだ、婆や、――客が来たのか、少し遅いな、何? 新聞記者? なら逢ってやろう」

長島博士は婆やに指図して玄関の扉を開けさせました。

「先生、遅くなってすみませんが、少し重大な事が起ったんです」

千種は名刺を出しましたが、長島博士はそれをチラリと見ただけ、受取ろうともしません。学者らしい無頓着さです。

「此方へ入りたまえ」

導かれたのは、裏の方に突出した研究室、広さは三間四方位あるでしょう。真ん中に明るい飾電灯が下って、その上幾つかのスタンドまで灯け、部屋の中の物の影も作らせないほど明るく、得体も知れない巨大な器械が、その部屋の面積の大部分を占めて、頑張って居ります。

「――――」

千種十次郎も、何んとなく恐怖とも、不安とも付かぬものを感じました。部屋の中の空気がラジオの真空管の中のように、一種の微光を帯びて震動し、馴れない千種の、不安と焦躁をかき立てるのです。