Classici giapponesi con furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Leggi 鷲 (わし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.476 caratteri · 290 schermate
残暑の強い時節といい、旧盆に相当しているせいか、ここらの旅館に泊り客は少なく、最初の二、三日は私ひとりであったが、その後に又ひとりの客が来た。それは大阪辺のある保険会社の外交員で、時どきにここらへ出張して来るらしく、旅館の人たちとも心安そうに話していた。年のころは二十七、八で、色の白い、身なりの小綺麗な、いかにも外交員タイプの如才のない男で、おそらく宿帳でも繰って私の姓名や身分を知ったのであろう、朝晩に廊下などで顔を見合せると、「先生、先生。」と、馴れなれしく話し掛けたりした。彼は氷垣明吉という名刺をくれた。
ある日の宵に、わたしは町へ散歩に出た。うす暗い地方の町にこれぞという見る物もないので、わたしは中途から引っ返して、町はずれから近在の方へ出ようとすると、二人の男に挨拶された。月あかりで透かして視ると、かれらはこのごろ顔なじみになった町役場の書記と小使で、これから近所の川へ夜釣りに行くというのであった。
「ここらの川では何が釣れます。」
そんな話をしながら、わたしも二人とならんで歩いた。一町あまりも町を離れて、小さい土橋にさしかかると、むこうから男と女の二人連れが来て、私たちと摺れ違って通った。