Classici giapponesi con furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Leggi ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) di 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 132.905 caratteri · 262 schermate
この恐ろしいまで、生き生きした、天上の光輝に対して、赤ぼけた燈火の、絶え絶え、地上に息吐くのは、甲府から早川入りの山村であろう。それもしかし、闇夜には、隣家かと惑うほど、身近く迫り寄る。時には富士の大裾野に、野火が一とつら、二たつら、赤あかと、大蛇の舌を吐くさまに……。
星月夜の挿図
暦の上に春は立っても、この山上には、気ぶりすら中々。日記の断片、二月十日の条には、「雪晴れの片割れ月に、白い木や堂の屋根が、くっきりと、黒い空に出ている処、古い芝居の書割りを思わす。富士は暗く、高い。その左手の天、ほの白く、アルクツルスと覚しき大星、赤紫光を放つ。鋭い流星、氷りつく横雲……」。などとある。その後、積雪はいよいよ深さを増す。富士は、薄墨色の雪雲に塗り消され勝ち。夜ふる雪の音は、スュー……といった風な、地虫の鳴く音にも似て、更に陰々たる寂し味がある。その間拍子に、木や軒から落ちるのか、さらさら、ぽつぽつ、と粗い音。しかし、二月も半ばを過ぎると、さすがに春の兆しは現われた。妙に温かい日が交じる。積雪の俄かに崩れる音、融ける音。夜など、それが又冴え返って、逆に凍みつく鋭いきしり。