Classici giapponesi con furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Leggi いやな感じ (いやなかんじ) di 高見 順 (たかみじゅん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 292.113 caratteri · 587 schermate
。襟巻から顔をのぞかせた恰好はてもなくあのカチューシャだった。この和製カチューシャは、トルストイの小説とは逆に、俺の流刑地へとついてきたのである。
アビルの弟の家は、いわば陸と海のさかいの海べりにあった。彼は百成というひどく景気のいい姓で、アビルはこの弟のことを単に漁師だと俺に告げたが、れっきとした網元なのだった。いかにも百成の姓にふさわしい大きな家(もっともそれは親譲りのものだが)の若主人らしい貫禄を見せつつ、俺に、
「野中さんか」
それがここでの俺の姓だった。
「兄貴から手紙を貰った」
電報でなく、手紙をわざわざよこしたらしいが、俺のことをアビルがどう書いてきたのか、それは分らない。
この弟の、口数がすくないのは、彼の性質か、それとも俺をケムったく思ってのことか、それも分らない。彼は百成真二郎と言って、兄のアビルは清一郎というのだった。垢で真黒なあのアビルの本名が清一郎だというのはおかしかった。
きちんとした身なりをした女が黙ってはいってきて、じろりと波子に、うさん臭そうな眼をやって、ストーブに石炭を入れた。
「兄さんの友だちの野中さんだ」
俺のことを真二郎はそう言って、その女を家内だと俺に言った。