Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かかこうしゅ

中国の怪談(二)

田中 貢太郎

Leggi 中国の怪談(二) (かかこうしゅ) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.926 caratteri · 225 schermate

Aozora Bunko

杜陽は四辺に眼をやった。大木がいちめんに生えて下の方は微暗かったが、梢の方の枝と枝との間には明るい空があって、そそり立った山の尖りが見えていた。枝には風があった。杜陽はどうして道のある処へ出たものだろうと思って注意した。其処は険しい切り断った瓶の底のような壑の底で、翅のないかぎりあがって往くというようなことは想像にも及ばなかった。彼が折角無事であったことを喜んだのも束の間の喜びであった。

四辺が一層暗くなってきた。杜陽はおどろいて梢のほうを見た。陽が暮れて碧い空が燻ぼり、山の尖りももう見えなかった。其処には一つの石が犬の蹲ったように朽葉の中から頭をだしていた。彼はその石へ崩れるように腰をかけた。

風が凪いでしまって渓河の音が耳についてきた。杜陽は起きあがった。彼は其処にいるにしても猛獣毒蛇の恐れがあった。往くとしたなら猛獣毒蛇の恐れのうえに断崖絶壁の恐れがあったが、しかしそれには径を見つけ、人家を見つけるという万一を僥倖せられないこともなかった。

杜陽はとぼとぼ朽葉の上を踏んで往った。燈の光のような光がちらちらと樹の間から見えた。赤味を帯びたほっかりしたその光は、燈の光より他の光ではないと思った。