Classici giapponesi con furigana
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いきりょう
久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集
久生 十蘭
Leggi 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集 (いきりょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.698 caratteri · 42 schermate
「ベルナアルさんを捉えるよりも野兎を捉えるほうがもっと楽です。……まあ、しかし、もうすこし元気を出してやってみましょう。……神の助けによって……」
院長と私は、丘を越えたり沢を渡ったりしたのち岬のほうへ歩いて行った。岬は鶴の嘴のように長く海へ突き出していて、その両側は眼の眩むような断崖になり、遥か下の方で津軽海峡の波が轟くような音をたてて捲きかえしている。
ベルナアルさんは、岬の端にいた。
晩秋の驟雨があがったばかりのところで、薄暗い空に北海道の南端から本州の北端まで届くほどの雄大な虹が七色の弧をかいて海峡の上を跨いでいた。
ベルナアルさんは、空へ両手を差伸ばし、切れ切れな声で大きな虹にむかって思いつく限りの歎賞の言葉を捧げているのだった。いつもベルナアルさんの手から離れたことのない祈祷書は、まるでそこへ叩きつけたかと思われるようなひどいようすで岩の間に落ちていた。
院長さんは、私に片眼をつぶって見せた。
「とうとう捉えました。あんなとこで大きな声で虹とお話をしています。……ほんとうに、ベルナアルさんというひとは……」
院長は、精一杯な声で虹に向って叫んでいるベルナアルさんを抱き取るような慈悲深い眼つきで眺めやりながら、