Classici giapponesi con furigana
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いきりょう
久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集
久生 十蘭
Leggi 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集 (いきりょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.698 caratteri · 42 schermate
三
三
川股の中洲から岸へ戻って段々畑をながめあげると、五段目あたりの辣薤畑のなかですらりとしたようすのいい浴衣がけがひとり、真っ白なかぶり手拭のはしを秋風にヒラヒラさせながら踊っている。
「やあ、狐がおどっている」
どうでもそばへ行って見たいような気持になって、下駄をぬいで岩づたいに流れを渡り、熊笹の刈株をガサガサと踏みわけながら段々畑の畔道をのぼって行ったら、なにほどのぼったと思わないうちにいきなり畑の横手へ出たのにはびっくりした。
畑の畔の玉蜀黍の葉の間からそっとのぞいて見ると、蔦の葉の大柄な模様の浴衣を褄はずれよくきっちりと着、白博多の性のいい夏帯をいいようすにしめている。顔は手拭にかくれてくびれた白い顎しか出ていないが、ときどき顔を月に振向けると、すこし長めな、すんなりした鼻が見える。細っそりとしているけれどひよわいようではなく、肩から腰のあたりへかけてなんともいえない色気があってちょっとばかばかしいくらいだ。
よく透るくせに、どこかふっくらとふくみのある声で、盆、盆、ぼんのおどりもきょうあすかぎり、明後日はなんとかのなにやらさ、と歌いながら、しなやかに手先をくねらせてしんねりと踊っている。