Classici giapponesi con furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate
四
四
「父の名は喜兵衛、母はおととし亡くなりました」と娘は云った、「きょうだいは二人で、家には十七になる弟の政吉がおります」
「家を出たのはどういうわけだ」
「それは云いたくないのですが」と娘はまたためらったが、伏し眼になって、低い声で云いにくそうに続けた、「――母の亡くなったあと、まもなく新らしい母が来まして」
娘はそこで言葉を切り、顔をあげて、不審かしそうに千之助を見た。
「いまお役目と仰しゃいましたけれど、わたくしどういうわけでお調べを受けるのでしょうか」
「人殺しが二度あった」千之助はさりげなく云った、「瓦版が出たから知ってるだろうと思うが、一度は深川、二度めに浅草、どちらも殺されたのは男で、下手人は二度とも若い女だった、知っているだろう」
「いいえ」娘は大きくみひらいた眼で、吃驚したように千之助をみつめながら、かぶりを振った、「わたくし近所づきあいを致しませんし、瓦版を読むようなこともございませんから」
「茶の弟子たちからも聞かなかったか」
娘はまた眼を伏せた、「本当のことを申しますと、看板は出してありますが、わたくし弟子は取っておりません」
「どういうことだ」