Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate

Aozora Bunko

おしのは眼をそらさなかった。抱きあって眠っている二人の姿は、見るに耐えないものであったが、おしのはまるで罪と汚辱を慥かめるかのように、やや暫くかれらの姿を見まもっていた。

「いいえ」とやがておしのは呟いた、「あたしはまだ死ねない、おっ母さんと同じ罪を分けあった者がいる、いまそこでいっしょに寝ている男のように、おっ母さんと組んでお父つぁんを苦しめた男たちがいる、――その男たちも罪を償わなければならない、その男たちにも、自分の罪を償わしてやるわ」

おしのは持っていた釵を投げだして、中廊下へ出てゆき、納戸から手燭を取って来ると、それに火をつけて、女中部屋へはいっていった。

そして約半刻のち、寮の裏口からおしのが出て来た。時刻は夜半の十二時すぎで、弱い北風が吹いてい、すっかり凍てた地面は、おしのの足の下できしきしときしんだ。あたりは暗く、どっちを見ても灯一つみえなかった。南隣りは地着きの農家、北側は京橋のなにがしとかいう老舗の寮、どちらも広い庭と樹立があるし、夜のことで家は見えない。――おしのは生垣の木戸を捜してから、戻って来て、家の裏手に佇んだ。彼女は着物の上に紫色の被布を重ね、頭はおこそ頭巾で包んでいた。