Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じゅうにしこう

十二支考(上)〔全2冊〕

南方 熊楠

Leggi 十二支考(上)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) di 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 290.735 caratteri · 566 schermate

Aozora Bunko

『文選』の和訓には、支那の悪鬼人間にありて怪害を作すてふ野仲をノヅチと訳した。それからちょうど古ギリシアローマの名神に、蛇妖となり下ったものあるように、野槌も草野の神から悪鬼、次に上述通りの異態な蛇を指す号と移ったものか。

今より千十余年前成った『新撰字鏡』に、蝮を乃豆知と訓んだ。ほとんど同時に出来た『延喜式神名帳』、加賀に野蛟神社二所あり。『古事記伝』に拠れば、ノヅチは野の主の意らしい。予山中岸辺で蝮を打ち殺したつもりで苔など探し居ると、負傷した蝮が孑孑様に曲り動いて予の足もとに滑り落ち来れるに気付き、再び念入れて打ち絶やした事三、四回ある。したがって俗伝の野槌は、かように落ち来る蝮から生じた譚で、あるいは上世水辺の蛇を、ミヅチすなわち水の主、野山の蝮をノヅチ野の主と見立てたのかとも思う。ただし野槌に似た動物が、実際世界にないでなく、例せばウロペルチス(円盾状の尾の義)の一族およそ四十種、南インドとセイロンに産す。山林の土中に棲み、眼至って小さく、両齶に歯あり、尾甚だ短く太く、斜めに截り取られたようで、その端円盾のごとく、その表面粗し。それを地に押し著けて歩く、その状あたかも古欧州の軍士が円盾を手で使い分けたごとく、わが邦人に解るように言うなら、塚原老翁が鍋蓋を以て宮本武蔵と立ち廻ったごとしだ。