Classici giapponesi con furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Leggi 南国太平記 (なんごくたいへいき) di 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 493.291 caratteri · 991 schermate
玄白斎が、呟いた。
「牧どんが?」
「いいや――」
玄白斎は、首を振って
「今日のことは、和田、極秘じゃ」
街道へ出てからも、玄白斎は、考えながら歩いているらしく、いつものように、左を見、右を見しなかった。和田は、大抵の雨にも、雪にも、薬草採りをやめない老師が、急に帰るのを考えると、何か、大変なことが起っているように感じられた。
(牧より外に、あの秘法を行う人間はない筈だ――牧の仕業としたなら――何んのために――誰を――)
玄白斎は、険路も、汗も感じないで、考えつづけた。
(もし、自分の考えが、当っていたとしたなら――島津家の興廃にかかわる――)
玄白斎の考えは、次のようなことであった。
当主斉興の祖父、島津重豪は、英傑にちがいなかった。彼は、シーボルトが来ると、第一に訪問した。それから、大崎村に薬園を作ったし、演武館、造士館、医学院、臨時館の設立、それによって、南国片僻の鹿児島が、どんなに進歩したか?
彼自らは「琉球産物誌」「南山俗語考」「成形図説」を著し、洋学者を招聘し、鹿児島の文化に、新彩を放たしめたが、然し、それは悉く、多大に金のかかることであった。