Classici giapponesi con furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Leggi 南国太平記 (なんごくたいへいき) di 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 493.291 caratteri · 991 schermate
「何を、お泣きやる」
それは、深雪の泣くのを叱るよりも、自分の弱さと、涙とを叱る声であった。綱手は、自分の握っていた深雪の手を放した。深雪は、顔に袖を当てたまま母の方へ振向いた。
「お前も、何れ、綱手と同じように、働かねばなりません。それに――そんな――よ、弱いことで――」
「七瀬、道中、水当り、悪人足に気をつけよ。深雪は、益満の許にあずけるから、心配すな。小太郎、申すことは無いか」
「別に――御身体、気をおつけ遊ばして」
「お前も――」
「では行け。又蔵、たのむぞ」
小者は、地に両手をついて
「いろいろと、御世話になりました。命にかけて御供仕ります」
「たのむ」
「では、御、御機嫌、よろしゅう」
「道中無事に――」
深雪と、綱手とはもう一度抱き合った。そして、泣いた。それから、深雪は
「お母様」
と、叫んで、胸へすがった。七瀬は、その瞬間、深雪の背をぐっと抱き締めたが、すぐ
「未練な」
やさしく、深雪の指を解いて、押し放した。そして、雨具、雨笠を手に、門から一足出た。深雪は、佇んだまま袖の中で声を立てて泣いていた。七瀬と、綱手は、手早く、雨支度をすると
「参ります」
「うむ」