Classici giapponesi con furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Leggi 南国太平記 (なんごくたいへいき) di 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 493.291 caratteri · 991 schermate
地獄相
眼を光らせて、脣を顫わせて、危い足取りを、急いで、小走りに走って来た。手燭を持った若侍が、足許を照らしていたが、斉興の足とすぐ、ぶっつかりそうになって、その度に、燭が揺いだ。
地獄相
「綱手」
百城は、床柱に凭れて、膝を組みながら
「大阪へ戻っては――存じておろうが、取締りが、厳しゅうて、思うままには、逢えぬ。それで、ここで、ゆっくり、話をしたいが――御国許で、同志の人々は?」
外には、高瀬川が、音もなく、流れていた。綱手は、宿の女に、云いつけて買わした、京白粉、京紅で、濃い化粧をして
「母から、聞いておりますには――」
ちらっと、百城の顔を見た。そして
(男らしい――やさしい――)
と、思って、眼の底に残っている、百城の顔を楽しみつつ、俯向いた。
「それを聞かしてくれぬか? 同志の人々も、存ぜずには、手段も、廻らせぬ」
「でも、母は、女のことゆえ――」
眼に、十分の愛を――媚を現して、下から見上げて
「しかと、しましたことは――」
「いいや、母上は、男優りであるし、御存じであろう――略、重だった人の名さえ聞いておけばよい」
「では、心憶えのままに――」
綱手は、首をかしげた。