Classici giapponesi con furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Leggi 南国太平記 (なんごくたいへいき) di 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 493.291 caratteri · 991 schermate
と、いって来た。それを、きっかけに、綱手は、重い心をして、重い身体を、立上らせた。
侍女部屋には、誰も、居なかった。綱手は、呆然として、つづらに、凭れかかった。
(深雪が――無礼を働いた)
綱手は、一目、深雪に逢いたい、と思った。涙が出てきた。
(何んな無礼?――邸外で、働いたのか、町の中で、働いたのか、それとも、奉公に上ってからか――一体、深雪は、何うして暮しているのだろう)
そう思うと、益満の面影が、ぼんやりと、眼の底に浮んできた。
(箱根の山の中で、いつか、肩へ、手をかけた時――)
綱手は、それを想い出して、独りで、顔を赤らめた。それは、益満への、思慕の心からでなく、自分が、人並よりも、淫蕩娘ではないかしら、という、疑いからであった。
(でも、世間で、十九といえば、子供衆のある人もあるのに――)
そう、自分を弁解して見たが、長上の人の許しもなく、男に肌を許した、ということは、心の底に鉛のように、重くなって沈んでいた。
(妹は、もしかしたら、益満様の指図で、お由羅様を殺そうとしたのではないかしら)
そう考えると、そういう気もした。
(危い、大外れたことを――益満様の教えそうなこと――)