Classici giapponesi con furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Leggi 南国太平記 (なんごくたいへいき) di 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 493.291 caratteri · 991 schermate
小者は、微笑して
「何分――」
と、四辺を見廻して
「人目を――」
「有難う、ござんした。御返事は、そして」
「万事、それに――」
と、いうと、すぐ、姿を、消してしまった。綱手は、四辺を見廻してから、封を切った。胸が、どきどきして、顔がほてった。月丸の手紙には
予て打ち合せの如く、六つを合図として、筋違橋まで出向くこと。もし、それまでに、堺へ行くとなれば、仲間部屋の角柱へ、白紙を貼りつけておくこと。
と、出奔の打ち合せが、書かれてあった。綱手は、読み終ると、廊下づたいに、厠の方へ歩みながら、手紙を、細かく引裂いた。
時刻は、遅くなったが、町家は、油障子の、薄ら影を、街へ流しているだけであった。
「女共から聞いたが――小太郎が、当地に参っている気じゃが――本当か」
月丸は、低く、静かにいった。綱手には、答えられなかった。居ないと、月丸へ偽ることはできぬし、居る、といえば、討ちに行く、というに決まっていた。
「綱手」
月丸は、綱手へ、顔を向けた。綱手は、頭巾で、頭をかくし、両手を袖へ入れて、胸で合せながら
「参ってはおりますが――」
と、答えると、月丸は、小半町も、そのまま、黙って歩いた。