Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たんどくこう

単独行

加藤 文太郎

Leggi 単独行 (たんどくこう) di 加藤 文太郎 (かとうぶんたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.799 caratteri · 222 schermate

Aozora Bunko

と心から心配そうに尋ねたものです。この親切な言葉にはさすがのAも「はあ」と言ったまま、良心の呵責を受けて顔を上げることもできませんでした。そして彼は二度とあんな悪いことはすまいと決心をしたのです。

やがてその夜も明けはなれましたが、相変らず室堂の尾根は唸っております。けれども最早躊躇するAではありませんでした。Aはこう思いました。「この茫々とした立山の雪原であるいは自分の一生も行き暮れてしまうかも知れない。けれど正しいと思う方向へ向って歩いておれば、倒れたとて何を思い残すことがあろう」とやがてAは室堂の出口の梯子を登って行きました。とはいえ、一歩戸外へ出ると物凄い吹雪はまともに吹き揚げてくるし、油で真黒だったスキー靴も、寒さのため瞬く間に黄色く変り、足の指がズキズキと痛みだしたときはさすがに彼もたじたじとしました。けれど次の瞬間彼は吹きあげてくる西風へ向って猛然と突進して行きました。睫毛は凍り、顔は強ばり、手の指は感じがなくなり、呼吸もくるしい。けれどAはひるみませんでした。谷に迷い、尾根を登り、長いあいだ一生懸命に闘った。そしてやっと姥ヶ石の附近まで下ってきました。