Classici giapponesi con furigana
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たんどくこう
単独行
加藤 文太郎
Leggi 単独行 (たんどくこう) di 加藤 文太郎 (かとうぶんたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.799 caratteri · 222 schermate
急いで横岳へ向う。硫黄岳と横岳の鞍部では風のため二、三度投げ出された。顔と手の寒いことよ。スキー帽の上に目出し頭巾を冠り、その上を首巻でグルグル巻いているのに、風の強く吹いてきたときは痛いと思うほど寒い。顔と手は皮の物を使わなければ駄目らしい。横岳へ取付いてすぐ二カ所岩にかじりつくところがある。しかしどっちも低いし、落ちても安全なところである。横岳は殆んど東側ばかりを歩いた。さほど悪いと思われるところはない。横岳の下りで、新雪の急斜面を横切るとき、ミシッと言って大きな割目ができたので、ヒャッとして夢中で元の方へ這い上った。ここは今ちょうど太陽が直射していて深く潜るところであった。そこでこんどはズッと上の方を偃松や岩角を掘り出し、これを手掛りとして通った。この辺から見た赤岳はとても雄大である。鞍部にある赤岳の小屋は戸口に雪がつまっていて入れそうにない。風は止んでズッとあたたかくなってきた。そして午前十一時十分憧れの頂きに立った。三年前の九月一日に権現岳からここへやってきたとき、一月などにこの頂きに立てようとは夢にも思わなかったが、何と幸運なことだろう。