Classici giapponesi con furigana
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ななしゆびものがたり
名なし指物語
Leggi 名なし指物語 (ななしゆびものがたり) di Niimi Nankichi (新美 南吉) in giapponese con furigana. JLPT N4. Tocca una parola per il significato.
N4 · base · kanji e kana moderni · 10.312 caratteri · 21 schermate
ま夜中のころ、宿屋のまどを、中からおしあけて、こうもりのように、ひらりととびおりた人かげを、銀のフライパンのようなお月さんは、高いところから見たのでありました。その人かげは、明るいところをおそれるように、いけがき、やぶ、馬小屋、へいのかげなどの暗いところをもとめながら、ひらひらと見えかくれしていましたが、やがて、森の深いやみの中に、すいこまれるようにきえていってしまいました。
朝になってマタンは、木ぐつとお金とは、つれといっしょになくなっていることに気がつきました。世の中には、なんというひどいやつがいることでしょう。せっせと長い間はたらいて、あせとあぶらのかわりにえたとうとい金を、悪魔のように、こっそりとぬすんでいくなんて。
しかし、なくなってしまったものを、いつまでもなげいているのは、おろかなことでした。マタンはまだ、宿賃をはらってありませんでした。それは、わずかな金ではありましたが、どろぼうがすっかり、うばっていってしまった今、そのわずかな宿賃も、はらうことができませんので、マタンは一策を案じ出して、宿屋の主人からノミとツチを借り、木ぐつをつくって、金のかわりに、それではらうことにしました。