Classici giapponesi con furigana
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じごくふうけい
地獄風景
江戸川 乱歩
Leggi 地獄風景 (じごくふうけい) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 53.774 caratteri · 108 schermate
確に人の声だ。しかも断末魔の苦悶を現わす、何とも云えぬ物凄い唸り声だ。
「ウム……」という、悲痛なうめき。一二秒間を置いて、「ク、ク、ク……」と、歯ぎしりをする様な、或は泣きじゃくりをしている様な、一種名状し難い、低い物音が聞えて来た。
折枝はゾッとして、暫くは口も利けなかったが、やっと喉の自由を取返すと、思わず、
「大野さーん」と、突拍子もない叫び声を立てた。
「オーイ」
ずっとずっと遠くの方から、男の声が答えた。アア、やっぱりさっきの唸り声は大野さんではなかったのだ。だが、すると、彼女と大野さんとの中間に、何者かがいるのかしら、しかも、あのうめき声は決してただ事でない。急病でも起したのだろうか。イヤイヤ、どうもそうではないらしい。若しやその人は、何か恐ろしい目に合っているのではあるまいか。
「折枝さん、どこだい」
今度はやや近い所で、大野さんの声がした。
「ここよ」
「今の、聞いたかい!」
アア、ではやっぱり本当なのだ。大野さんもあれを聞いたのだ。
「エエ」
「どうも変だぜ。あれはただの唸り声ではなかったぜ」
「そうよ。あたしも、そう思うのよ」
「オーイ、そこにいるのは誰だ」