Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Leggi 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.120 caratteri · 516 schermate
ただ心配なことは、物が高くなって食えなくなるということでありました。
天下国家の大きなことを憂うる人には、別に志士という一階級があって、それは殿様から代々御扶持をいただいて、食うというような賤しいことには別段の心配のなかった者や、その家庭に生い立った人が多いのであります。けれども、この貧窮組は生え抜きの平民でありました。武士は食わねど高楊枝、というようなことを言っておられぬ身分の者ばかりでありました。彼等は食いたくてたまらないのであります。世に食いたくてたまらないものが食えなくなるということほど、怖るべき事実はないのであります。蟻や蠅でさえ生きていられる世の中に、人間が食えなくなって生きていられないという世の中は、無惨なものといわねばなりません。
それがためであったかどうか知れないが、あの不得要領な貧窮組が勃発して江戸市中を騒がすと共に、有司も金持も不得要領に驚いてしまいました。ことに驚いたのは金持の連中でありました。一時は生きた空がなくて、金品を寄附したり、慈善会のようなものを起したりして、貧民の御機嫌を取ろうとしてみた狼狽て方はかなり不得要領なものでありました。