Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Leggi 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.120 caratteri · 516 schermate
湯をこぼして小笊の中へ栗を入れて、それと鉄瓶の水を入れ換えたのを両手に持って、
「栗がゆだった、一つ食わねえか」
と言って屏風の中を覗いて見ると、病人さながらの竜之助が、首をうずめて寝ていた横面が、痛ましいほどにやつれています。そのくせ刀は、濡れた柄をこころもち斜めにして、あと言えばさと鞘を抜け出るばかりに置いてあるのが、殺気を流すのであります。
夜になると風が銀杏の木の葉をひらひらと落して来ました。弥勒寺の鐘が九ツを打った時分に、屏風の蔭に寝ていた机竜之助はウンと寝返りを打ちました。
こちらの炉の傍に寝ていた米友は、その寝返りの音を聞くと、蒲団から首だけを出して屏風の方を見ていました。屏風の中はそれっきり静かなもので、すやすやと夢を結んでいるものらしくあります。それで米友も首を引込めて、また枕に就きました。それから、しばらくして屏風の蔭から、すっくと立った人のあった時には、もう米友は眠ってしまったものと見えて、動きません。
屏風の蔭からそっと忍び足に出た竜之助は、いつのまにか身仕度をしています。面には覆面をして、羽織を引っかけて、例の刀を左に提げて、ソロソロと屏風の麓を抜き足して歩き出したのは、甲府にいた時と同じような姿であります。