Classici giapponesi con furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.139 caratteri · 208 schermate
太郎に還ることもあろう」
思い入った丈太郎の言葉を、暫らく黙って聴いて来たお園、この時男の身体を離れて、膝を直しました。
「丈太郎様、それは本当で御座いましょうか」
「天下第一の名香、十里の外に匂って、もろもろの邪気を払うと言う蘭奢待の威力は宏大だ、私の迷いを払うことなどは物の数でもない」
「それならば、工夫も手段もありましょう」
「何?」
「私の主人英山公様が、蘭奢待をば秘蔵で御座います」
「えッ」
「織田信長公が東大寺の蘭奢待を一寸八分に切らせて頂いたのを、三分の二ほど諸侯に頒けたと申しますが、太田淡路守様御先祖も武功によってその中から頂いた相で、今に御隠居様御自慢のお物語が御座います」
「フーム」
「私の手で、何んとか致しましょう、御隠居様に御願申し上げて頂くか、でなければ――」
「…………」
思い耽る丈太郎を、懐かしそうに見送り乍ら、お園は部屋の外へ滑り出ました。
「丈太郎様、さらばで御座います、蘭奢待を手に入れる為、私の身が何うなろうとも、決して決して見捨てては下さいますな」
小さい嗚咽を残して、お園は背を見せます。
「待て待て」
丈太郎は立ち上って、追いすがりましたが、女は早くも門の外へ。