Classici giapponesi con furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.139 caratteri · 208 schermate
親類も友達も、そうなってはもう寄り付くこってはありません。私自身もまた、そんな薄情な存在は、何んの未練もなく振り捨てて、ロビンソン・クルーソーのように一本立になってしまいました。
金は一文も無く、信用も友人も職業も無いとなると、私の行く道は極って居ります。さらぬだに懐疑的な私の頭脳は、その頃すっかり捨鉢になって、パンを得る為の、最後の努力を払うのさえ面倒臭くなってしまったのですから、私の落ちて行く道は、乞食より外にはありません。
法学士水島三吾は、斯うして金看板の物貰いになり下ってしまいました。しかも、それを愧じ憂いでもする事か、当時は日本一の大英断のように、誇らしい気持にさえなって、偶々途で腰弁になり済して居る学友などに遇うと、わざと覚れよがしに、その男の前へ、文字通り蓬髪垢面の私の顔を突き出してやったりしたものでした。
併し、乞食という商売は――私は敢えて商売と申します――決して楽な商売ではありません「右や左の旦那様――」をやる骨もすっかり板に付いてしまって、足へ一斗樽ほどにボロ片を巻く手際も心得てしまった頃でも、何うかすると貰いが少なくて、夕飯にあり付き損ねたり、暴風雨や吹雪の晩など、橋の下や、堂宮の軒下に、臍まで濡れて、ガタガタ顫え乍ら夜を明かすことも稀ではありませんでした。