Classici giapponesi con furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.139 caratteri · 208 schermate
「…………」
「お待ちよ、何んて早い足だろう、今日はボロも巻かず、跛も引かず――それで商売が出来るのかい」
と言い乍ら、側へ寄り添うように、ハアハア息を切らして居るのは、今しがたも喧嘩の種になった、女乞食のお若でした。
女乞食と言ったところで、これは門付の芸人で、ペンペコ三味線を一挺抱えて居りますが、手拭を被った下から見える目鼻立は、成程仲間の目からは、美しくも輝やかしく見えるでしょう。白粉っ気なしの、陽に焦けた顔は、かなりふけて見えますが、本当の歳は二十歳を越しては居ないでしょう。
尤も美しく見えるのは左半面だけで、右半面は大焼痕で引っ釣りだらけの上、眼まで潰れて居りますから、此方の側からはとても二た眼とは見られません。
どうして乞食の仲間に入ったか、生れは相当に良かったらしく、物越しも尋常、気風も娘らしい若々しさと、荒み切れない優しさを持って居りますから仲間では一番の人気者で、斯う言う私も、昨日までは何んかしら淡い恋心を寄せて、辻の六蔵と二、三度鞘当てめかしい事をやったものです。
「どうしたのさ、三ちゃん、今日は全く変よ、好い匂いなんかさして」
二人は観音様の裏手、気紛れな土地の子供でも無ければ、滅多に入って来ない木蔭の捨石に掛けて、ちぐはぐな心持で顔を見合って居りました。