Classici giapponesi con furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.139 caratteri · 208 schermate
卓の上にはウイスキーの飲さしのコップが二つあり、死体の顔には、何んの驚きも苦悶も無いところから、犯人は丸茂の知人――しかも、夜中の事務所への訪問に、ウイスキーを出したり、廻転椅子の背後へ廻って、短刀を振り冠られても、平気で居ると言ったような、非常に親しい間柄の人間でなければならないと推定されました。
兇器は極めて鋭利な女持の短刀、柄に螺鈿が入って、昔の御殿女中などの持ったものらしく、鞘は床の上へ捨ててありますが、短刀は、物凄まじく首筋に突っ立った儘で、血は椅子の凭れから床の上へ流れて、リノリウムの上に一と塊りに凝結しかけて居ります。これは、抵抗しなかったのと、瞬間的に死んだ為でしょう。
傷は後頭部に一つだけ、絶対に致命的なもので、兇行の推定時間は、昨夜十二時前後、それより早くは無いということでした。
四囲の事情から、事業の共同経営者たる私が一番先に疑われました。併し、取りしらべの結果、仕事の上には少しの疑点もなく、反って丸茂の方に多少私に知られ度くない事があった有様で、私にかかる疑いは次第に薄らいで行きました。
それに私は、完全な不在証明を持って居たのです。