Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選

野村 胡堂

Leggi 奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 31.249 caratteri · 62 schermate

Aozora Bunko

三

「その娘が、養子の市太郎を嫌って、やくざの万次と親しくなっていたのだよ」

弁慶の小助はそっと平次の耳に囁きます。

「世間の噂が私の耳にも入ります。人もあろうに、小博奕を渡世にしている、安やくざと懇ろになっては、娘の一生も台なしでございましょう。お旗本の妾に上げては、私の心持が済みませんが、それでもやくざ者の配偶にするよりは増しでございます。伊賀井様のお望み通り、急に娘を奉公に差上げる気になったのは、そんなことからで――」

小博奕打の女房にするよりは、まだしも三千石の旗本の妾にした方が――といった考え方は、善悪はともかく江戸の町人のそれは常識だったのです。

三

平次はそこから昨夜娘が刺された場所――お勝手口の井戸端を廻りました。まだ宵のうちの出来事で、内外の戸締りもなく、庭は打ちつづくお天気に踏み固められて、足跡一つ残ってはおりません。井戸端に流れた血潮は洗い清めたところで、土が少し湿っておりますが、そんなのは平次の探索に何の役にも立たなかったのです。

「あれは?」

「養子の市太郎だよ」

弁慶の小助が引合せてくれたのは、二十五六の頑丈な男で、色も黒く、眼鼻立も大きく、その上横肥りで、武骨で、全く女子供に好かれるたちの男ではありません。