Classici giapponesi con furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.411 caratteri · 285 schermate
「今御新造さん(豊世)が買物に行くと言って、そこまで送って来てくれました。久し振で東京へ出たら、サッパリ様子が解りません」
こう番頭が言って、橋本の家風を思わせるような、行儀の好い、前垂を掛けた膝を長火鉢の方へ進めた。
番頭は幸作と言った。大番頭の嘉助が存命の頃は、手代としてその下に働いていたが、今はこの人が薬方を預って、一切のことを切盛している。旧い橋本の家はこの若い番頭の力で主に支えられて来たようなもので有った。幸作は正太よりも年少であった。
黒光りのした大黒柱なぞを見慣れた眼で、幸作は煤掃した後の狭細しい町家の内部を眺め廻した。大旦那の噂が始まった。郷里の方に留守居するお種――三吉の姉――の話もそれに連れて出た。
「どうも大御新造(お種)の様子を見るに、大旦那でも帰って来てくれたら、そればかり思っておいでなさる。もうすこし安心させるような工夫は無いものでしょうか」
世辞も飾りも無い調子で、幸作は主人のことを案じ顔に言った。姉の消息は三吉も聞きたいと思っていた。
「姉さんは、君、未だそんな風ですかネ」
「近頃は復た寝たり起きたりして――」
「困るねえ」